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第25回日本登山医学シンポジウム開催される
2005年5月5月21日(土)・22日(日)
報告 医療委員会 野口いづみ
| 2005年5月5月21日(土)・22日(日)に山本正嘉会長(鹿屋体育大)の主催により第25回日本登山医学シンポジウムが開かれた。会場の国立大隅少年自然の家は、鹿児島空港から車で2時間弱の鹿屋市内から、さらに離れた小高い丘の上にあった。高隈山を背景にして、緑豊かな自然に包まれた好立地にあり、錦江湾をはさんでかなたに開門岳のシルエットを望むことが出来た。 21日の午前中は一般演題13題が発表された。テーマは低酸素室におけるトレーニング、息こらえ実験、雪洞での体温変化、サポートタイツの効果、道迷いの調査などだった。前川剛輝氏は、低酸素室の動脈の酸素レベル(SpO2)の低下は、低圧低酸素室と比較して少ないことを報告し、低酸素室では必ずしも設定高度と同じ環境が得られるわけではないことを示唆し、興味深かった。 午後からは、学会員の参加者60名に加えて、主に九州一円からの一般登山者40名も参加した。特別講演は、まず、近藤和美氏が50歳を過ぎてから8000m6座に無酸素登頂した経験を報告した。氏は酸素を使ってエベレストにも登頂し、また、多くの人を登頂成功に導いている。高所登山の成功の要諦は、高所順化をきちんとすることと、7000m峰を数多く登ることであると強調した。さらに、新井裕己氏がスポーツクライミングの科学的なトレーニング法と指導法について講演した。実体験に基づいた実践的な内容で説得力があった。 シンポジウム「登山医学研究会発足25周年―これまでの歩みと今後の課題―」は、中島道郎氏による25年間の回顧から始められた。続いて、「どうすればよいのかー研究成果を一般登山者に還元するー」というテーマで、山本正嘉氏が転倒事故を防ぐためのトレーニング法を紹介した。1週間に3日、15回のスクワット5セットをするだけで著しい効果があるという、ありがたい話だった。野口は1月の医療委員会が行なったシンポジウム「突然死を考える」を紹介しながら、突然死の防ぎ方に重点をおいた講演をし、聴衆から活発な質問を受けた。大森薫雄氏は、スポーツ障害として若年クライマーの著しい手指変形の実例を示し、関係者に警鐘をならした。最後に、登山者から研究会への要望として、牛島浄氏が高所突然死例を提示しながらガイドライン作成作りを提唱した。また、浅野勝己氏が富士山測候所を高所科学研究拠点として残すための活動の経過と展望を報告した。 さらに、夕食後に米澤弘夫氏が招待講演を行い、鹿児島本土はもとより、屋久島の岩場を200本も開拓した成果を、詳細なデータと豊富な写真を使って1時間余りの講演をし、聴衆をうならせた。近藤氏が、「すごい人がいるものだ」と感心していた。 功労質は日本登山医学会への貢献に対して大森薫雄氏(本会元副会長)と上田五雨氏に授与された。奨励賞は昨年、「24時間山岳耐久レースにおける生理的負担度と疲労に関する研究」を発表した許斐真由子氏に授与された。山岳レースを完走するためのガイドラインを作成したもので、あらためて聞いたが、実際に役立つ内容と思われた。 22日は、鹿屋体育大学のトレーニングセンター施設見学と、新井氏によるクライミング講習会が開かれた。残念ながら、小雨のために高隈山登山をする者はいなかった模様だった。鹿屋体育大学のプールの玄関には昨年アテネ五輪で金メダルをとった柴田亜衣選手の顕彰碑があり、鹿屋での熱狂ぶりが伺われた。 次回は増山茂氏(本会元理事、東京)によって開かれる予定です。今回の学会は充実した興味深いテーマが多く、一般登山者にも十分楽しめ、役立つ内容でした。一般の方も本学会に出席されたり、学会の会員になることをお勧めします。 |
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