48-724号
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| 山でのアナフィラキシーショックとエピペン |
野口いづみ
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スズメバチに刺されて死亡したというニュースを時折、耳にします。山林の作業者が犠牲になることがしばしばありましたが、登山者や遠足の小学生も犠牲になっています。これは、スズメバチによるアナフィラキシーショックによるもので、アレルギー反応です。刺されて一度目はショックを起こさずに、体内に抗原ができます。抗原ができてから刺されると、重症なアレルギー反応であるアナフィラキシーショックが起こります。 アナフィラキシーは稀ですが、生命のリスクの高いものです。循環系は虚脱して、血圧が低下し、ショック状態になり、気道は浮腫を生じて呼吸が困難になります。私は薬によるアナフィラキシーショックの3件のケースに遭遇した経験がありますが、幸い、3例とも数時間以内に回復しました。もっとも多いのは食物によるアナフィラキシーで、蕎麦やピーナッツによるものが有名です。しかし、原則として、体内に取り込まれたものはすべて、異物としてアナフィラキシーショックを起す危険性があると考えられます。 アナフィラキシーショックにはエピネフリンが奏効し、医療機関に搬送されるまでの治療薬として有効です。エピネフリンは、血圧を上げ、心拍数を増加させ、気管支を拡張させる作用があります。アナフィラキシーショックで起こる循環虚脱や気道の浮腫などの症状を改善させます。 最近、エピペンという、エピネフリンキットが入手できるようになりました。エピペンはペン型の容器にエピネフリン1000倍溶液が0.3mg(小児用は2000倍溶液で0.15mg)が充填されているものです。安全キャップをはずして先端を太ももに押し付けると、針が押し出されて、筋肉内注射ができるという仕組みです。 |
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| エピペンはアンプルカットに慣れていない一般の方にも容易に使うことができ、医師に相談すると自費で入手できます。欠点として、使用期限が20ヶ月と短い点と、1万円以上と高額な点があります。しかし、山中で他に手立てがない時には他に変えがたいアイテムといえ、以前、スズメバチに刺されたことがある登山者には必携と考えられます。 そういえば、余談ですが、山からの帰りに乗車したタクシーの運転手から聞いた話にこのようなものがありました。彼は以前は浴びるように酒を飲んでいたそうですが、1年程前にハチに刺されてショックを起し、28日間、生死の間をさ迷ったということでした。そして、気づいたら、ばったりと酒が飲めなくなっていたそうです。生体内でどのような変化が起こったのか興味が持たれるし、ハチに刺された方が良さそうな方の顔も思い浮かぶことです。 |
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