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35-710号

“サーバイバル”という言葉について

中島道郎

 サーバイバルとは、「どんなことがあっても、死なずに生きて帰ってくる」ということである。それについて,ピーター・クンメルフェルトは次の6つのキーワード、すなわち、@生存。A能力。B気力。C自立。D逆境。E忍耐を挙げている。[Wilderness Medicine Vol.20,No.3(Newsletter, Summer 2003)]。
 @生存: 生死の境にあって、全く無傷ということはむしろ稀で、たいてい何らかの傷を負っているので、まず自分で応急手当をする。つまり患者は同時に医師である。同行者の手当をする場合もあり、包帯の巻き方や副木の当て方などを習得しておく。保温・保冷・脱水対策も大切。体温が37.0±3.3℃の範囲を逸脱すると脳の機能は低下し、わが身を守る正しい判断が出来ず、死に至ることがある。
 A能力: 緊急事態を生き抜くには、応急手当・風雨対策(小屋掛け)・焚火・水の調達や処理・合図の工夫などのワザの習得が必要で、それが手際よく出来るよう、普段から練習しておくこと。そのワザもなしに、生きて帰れたら、それは運が良かっただけのこと。
 B気力: 絶対生き抜くぞ、という強い気力、生きようとするしぶとさが根本。これが無いと上記のワザも立派な装備も役に立たず、反対に、これさえあれば、最低限のワザと装備だけで生き延びられる。
 C自立: 同行者の助けをアテにしない。自分の体は自分で守る覚悟で、登山計画は、いつも一人で登るものとして樹てること。
 D逆境: 出発前にはいつも、「考えうる最悪の事態」と「野宿」の二つの場面を想定して準備する。そうすれば、後でどんな事態が起ろうとも慌てることはない。
 E忍耐: 救助隊を待つ間にすべきことは、『見つけ出して貰うのに一番良い合図方法は何か』を考え実行する、に尽きる。行方不明者の捜索は、特に登山計画を残して行かなかった場合は、時間がかかる。待つ身にとり、発見・救助されるまでの時間は非常に長く感じられる。しかし、救助される可能性は、一箇所で動かずにじっと待っている方が、歩き回るよりずっと高い。動きたくなる気持ちをぐっと抑えて動かずにいるのは強い意志の力が必要。この、救助隊の来援をじっと座って待つ忍耐力の有無が生死を分ける。


   

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