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| 山中での被雷の予防と現場処置 |
中島 道郎
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これはMed Com UIAA(国際山岳協会連合医療部会)の今年度『ガイドライン』の要約である。(全訳は本年発行の『登山医学』第23号に掲載される。) 推定被雷死亡者数は世界中で1年間に約千人、それは全被雷者の3割で7割は死を免れている。死亡はほとんどが直撃による即死で、原因は心肺停止。間接的に、落雷した物体から発する火花とかその物体に流れる電流に接触しての感電の場合は大抵助かる。この場合は、精神・神経障害、火傷、鼓膜破裂、等々多彩であるが、ほとんどが後遺症なく治癒する。気絶し、呼吸していなくても、心臓が動いていれば助かる可能性が高いので、直ちに心肺蘇生法のABC、すなわち『気道確保・人工呼吸・心臓マッサージ』を実施すること。自発呼吸があれば大抵助かる。自発呼吸がなかなか戻らない場合でも、心臓が動いている限り、人工呼吸を諦めないこと。そうして助かった例は非常に多い。つまり、その現場にいながら幸いに助かった者が、直ちにその場で手当てをするのが原則なのは、雪崩の場合も同じ。被雷者の体に触ると感電すると思っている人があるが、それは絶対にない。 被雷事故は予防が第一。落雷を事前に察知して、安全な場所で雷が通り過ぎるのを待つべし。ここで、『30‐30の法則』、すなわち、「光ってから30秒以内に鳴ったら危険区域内にいると思え。最後の雷鳴から30分経たないうちは行動を再開するな。」を忘れないこと。安全な場所、とはいっても、とっさに簡単に見つかるものではない。まず山頂・山稜・背の高い物体の周囲から離れること。岩壁の高さを底辺とする三角形の空間は安全とされるが、それでも岩壁から1mは離れていること。山小屋があれば申し分なしだが、壁から1mは離れていること。 金属は雷を引き付けることはないが、電気の良導体なので、カラビナ等は体から外し、担いでいるスキー・ストック等は降ろすこと。 集団被雷の場合は分散して避難する。 山岳遭難救助の要諦は二重遭難の絶対回避にある。ヘリで救助に向かう場合は、雷雨が収まってからにすること。雷雲の中を飛行するのは危険度が高い。症状が数時間後に出現してくる例も多く、被雷者は必ず入院させて経過観察すること。
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