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703号

山岳救助国際委員会(ICAR)による「凍傷の現場対策」

中島 道郎

(28)山岳救助国際委員会(ICAR)による「凍傷の現場対策」

● 凍傷とは身体の限局性寒冷障碍。

● 罹患素因は脱水・過労・健康不良・防寒対策不備・湿潤・強風・身体が動かせない諸事情、外傷例えば骨折、高所環境、凍傷前歴、装着具による循環障碍例えばハーネス・きつい靴・腕時計や指輪、基礎疾患例えば糖尿病・レイノー氏病、アルコール・ニコチン・麻薬摂取。

● 予防対策に要するに上記の諸素因を避けること。特に靴と手袋が重要で、常に良質・防風・緩やか、に気を配る。

症状徴候は局所蒼白・かじかみに始まり、だんだん感覚がなくなってゆく。痛みなし。

応急現場対策
 ◇野外では風を避け、温かい飲物を摂る。靴を脱ぎ乾いた靴下(手袋も同様)に履き替える。足や手を仲間の股間とか腋の下で暖めて貰い(ただし10分間だけ)、靴をまた履く。
 疼痛緩和と循環促進の目的で、アスピリンもしくはイブプロフェン(薬剤過敏症でなければ)、1〜2錠のませる。患部を摩擦すること、直接火にかざすことは厳禁。感覚が戻れば再び歩き始めて構わない。感覚が戻らなければそのまま最も近い避難所(山小屋、ベースキャンプ)まで行く。
 ◇ 高所では酸素吸入(10分間の再加温で感覚が戻れば予後は良い。しかし、それは予防の失敗を意味し、それを改めない限り再発する。)
 ◇ 避難所(ベースキャンプ、山小屋等)で靴を脱ぎ衣服を全部着替え指輪は外す。温かい飲物を飲む。アルコールは差し支えない。

●急速再加温でじか火・摩擦厳禁。患部を37℃の温湯に浸す。(産湯温、肘で確かめる)。
 熱湯を少しづつ足しながら温度を保たせる。患部の温度が、非患部の温度になるまで、あるいは色が戻るまで(足なら約1時間)温める。乾かし、清潔な布を緩やかに巻く。再加温したらもう歩いてはならない。必ず担架に載せて搬出する。水疱は破らない。
 下山中に再凍結する恐れがある場合は、むしろ加温せず、そのまま可及的速やかに病院へ送る。
                  (出典:David Syme: High Alt Med Biol, 3:297-298, 2002)