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696号

ギンコ(イチョウの葉エキス)が
急性高山病予防に効果的に働く

濱口 欣一

(21)ギンコ(イチョウの葉エキス)が急性高山病予防に効果的に働く

 最近は健康補助食品ブームで、小生も登山行動中には活性酸素を除去する目的でオーバードライブ(商品名)を摂り快適な登山(下山後筋肉痛が出ない)を楽しんでいる。

 今回、日常的に脳血液循環改善のために摂っているギンコ(イチョウの葉エキス)が急性高山病の発症予防に効果があるという論文を読んだので、その主旨とギンコの内容を紹介したい。

 論文では、任意に選んだ被験者26人を、ギンコ服用群とプラセーボ(偽薬)服用群に分け二重盲検法で検討した。場所はハワイで被験者はMauna Keaに登る24時間前にギンコ60mgを1日3回またはプラセーボを服用した。被験者は平地から頂上(4205m)まで、途中2835mで1時間の休憩を挟み3時間強で輸送された。急性高山病(AMS)の判定は、AMSスコア(注)を使用した。

 ギンコ(12人)、プラセーボ(14人)の両群では、ギンコ2人(17%),プラセーボ9人(64%)が重篤なAMSになった。4205mでのAMSスコアは,プラセーボ群に対してギンコ群の方が点数は少なかった。ギンコを予防薬として行動1日前に服用すると、AMSの重篤性を軽減するとの最初の報告であった。

 なぜギンコが効果があるのか、その理由を調べてみた。
 イチョウの葉のおもな有効成分は,フラボノイド類とテルペン類である。イチョウの葉に含まれる13種類のフラボノイドには毛細血管を拡張し血行を促進させる働きの他,心臓の血流を増やしたり脳の老化を防ぐ働きがあると言われている。特にイチョウ葉にしか含まれない二重フラボン(2つのフラボノイドが結合)が6種類も含まれており、これらのフラボノイドは、強力な活性酸素消去作用と血管拡張作用を有している。

 またイチョウ葉の成分中6%を占めるテルペン類はギンコライドとビロバライドで、他にはないイチョウ特有の成分で、ギンコライドは抗炎症作用を有している。つまり多種類のフラボノイドとギンコライドが一緒に作用して相乗効果をもたらしているわけである。
 このような薬理作用を考慮すると、脳循環の改善から高山病の脳症状(浮腫に伴う諸症状)を軽減しているのかもしれない。

 なお、イチョウの葉を使った健康食品で皮膚炎などの被害が出ていることが2002年11月、国民生活センターのまとめでわかった。葉に含まれるアレルギー物質の「ギンコール酸」を取り除いていないことが原因である。
 サプリメントとして商品化されたギンコは各メーカーから発売されているが、試みたい岳人は各自の責任で商品を選んでほしい。
                              注:「登山医学」11:121-123,1991を参照