[PR]今日のニュースは
「Infoseek モバイル」






692号

「老い」を楽しむために

大森 薫雄

(17)「老い」を楽しむために 
                                                                                    
 WHOの「健康平均寿命」で、日本人は女性77.2歳、男性71.9歳、平均74.5歳と世界一になった。「健康平均寿命」とは、平均寿命から事故や病気により健康を損ねた年月を差し引いたもので、2002年生まれの新生児が健康な状態で送れる平均寿命のことである。

 アメリカの老年学者ニューガートンは、ヤング・オールド、オールド・オールドという考え方を提唱した。統計や経験上の知見から、55歳から75歳までのヤング・オールドは、ケアのいらない、お年寄り扱いをしなくてよいオールド、75歳を超えたお年寄りは、日常生活を営む際にも特別なケアが必要になる年代としてオールド・オールドという考え方を提唱したのである。本会員の平均年齢が61歳を超えた昨今、大変興味があるところだ。

 人の脳の老化がはっきり現れてくるのは50歳頃からである。私が多くの高齢者と接して判ったことは、人は臓器や知能より先に感情の方が老化するということだ。臓器は老化しても大きな病気をしない限り、実用機能は80歳になっても十分保たれている。また,脳が老化しても、痴呆にならない限り、知能は高い水準に保たれている。
 しかし、脳が老化すると、かなりの確率で感情が老化し、無気力、抑うつ的になってしまう。80歳代の52〜54%は、軽度も含め痴呆に入ってくる。80歳代でもかくしゃくとしている方々は、会社を経営したり、グループで旅行を楽しんだり、ほぼ全員が脳を現役で使い続けている。痴呆の大半は、脳を使わない、体も動かさないことからくる立派な生活習慣病といってよい。
 感情を活性化させるためには、心の底から楽しいと思えることをすることが大切だ。しかし、歳を取ってから趣味や娯楽を楽しみたいと思っても、その時点ではそれを探す気力がなく、試しにやってみても、そのことをそれほど楽しめなくなっている可能性がある。
 中高年、高齢期は強い連続性を持っている。中高年の時に楽しいことは、高齢になっても楽しい可能性は高い。

 人生80年時代、かくしゃくとして生きるため、楽しいこと、面白いことを堂々とやって感情を若く保つよう脳を刺激することを忘れずにいたいものである。

 中高年、高々年といえども十分意識してそれなりのトレーニングを行って登れば、山登りは体力の低下の防止、健康維持に役立つ生涯スポーツである。私は常々「歩くこと、山登りは賢者のスポーツである」との信念を持って皆さんに勧めている。