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682号
| 国際山岳連盟医療委員会2001年 カトマンズ高所登山医学シンポジウムから ―雪崩について− |
中島 達郎
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(7) 国際山岳連盟医療委員会2001年カトマンズ高所登山医学シンポジウムから ―雪崩について− 昨年の11月2〜3日、カトマンズでUIAA−MEDCOM(国際山岳連盟医療委員会)の年次総会があり、その機会にネパールの医師たちの希望で、高所医学のシンポジウムが開催されました。席上、この会の委員長のデュラー(B.Durrer)博士が雪崩と低体温症の講義をしました。 参考になると思うので紹介します。ちなみに博士はスイス・ユングフラウの麓、インターブルンネンの開業医ですが、診療所の庭はヘリポートになっているという本格的山岳救助医です。 スイスでは1992年から98年に雪崩に遭った人の数はスキーヤー、スノーボ−ダー、家屋内、車内の人合わせて638名、そのうち15分以内に救出された人の生存率は92%、助からなかつた8%の全員が既に致命的な障害を受けていたとのことです。 換言すれば、雪崩に埋まっても15分以内に掘り出されたら全員助かる、という話でした。 ところが15分を過ぎたら急激に生存率は低下し、35分以内には30%に、130分になるとわずか3%しか生き残れないそうです。 その場合、生死を分かつのは、鼻・口の前に空間が少しでも残されているか否かだそうです。その意味で、家屋内や車内に閉じ込められた場合の生存率は高くなり、オーストラリアでは屋内から13日日に救出された例があるそうです。 日本ではスキーヤーが雪崩に巻き込まれる事件は滅多にありませんが、どこでも雪崩れる場所はほとんど決まっていますから、何よりもまずそういうところに滑り込まないことです。このところ、日本からも本場でアルプススキーツアーを楽しむ人たちが増えているようですが、その際決して忘れてならないことは、雪崩は全く何の前触れもなく始まり、しかも上から落ちてくるものではなく、自分が作るものであるという認識、決して独りで行動せず必ず複数で行動すること、およびうっかり危険標識を見落として危険地帯に紛れ込まないことなどです。 万一雪崩に巻き込まれてしまった場合は、素早くスキーを外し、クロールの要領で雪の中を泳ぐ。大きなザツクを背負っていたため雪崩に埋まらずに助かった経験者の話から、ザツクに空気を満たしたビニール袋を入れる案もあります。 仲間が巻き込まれたら、何はともあれ15分以内に掘り出す。でも徒手空拳ではなかなか困難です。何度か模擬訓練をしておく必要があります。雪崩ビーコンは誰もが不慣れなためほとんど役に立っていないそうです。そういう装置さえあればよい、というのは幻想に過ぎないという好例です。雪崩はいつどこで発生するか全く予想できない、という前提で、普段からの心構えと訓練が重要なわけですが、何よりも危ないとわかつているところには決して近づかないことが肝心です。
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