[PR]テレビ番組表
今夜の番組チェック





登山時の耳栓と頭痛について


Q.7  就寝時の耳栓とダイアモックスについて
2005/07/17 松下 まゆみ さん
 以前、富士登山の山小屋で、周りのいびきが気になって眠れず、耳栓を使用したのですが、就寝時の耳栓は高度順応に影響するのでしょうか。また頭痛+他の症状の時はダイアモックスを服用するのが良いとありましたが、ダイアモックスで頭痛は軽減されるのでしょうか。



A.7
 耳栓は高度順応に影響しません。高山病の原因は高所の低圧低酸素で、初期の症状は主に呼吸器系の障害によってもたらされます。聴覚は無関係ですし、耳栓は内耳圧に影響するほど強力ではないでしょう。
 高所では低酸素に適応するために呼吸が過度になってしまうことで体液がアルカリ性に傾いてしまいますが、ダイアモックスはこれ(アルカリ性に傾いた体液のpH)を正常な方へ引き戻す作用があり、高山病に効果があります。高山病による頭痛の原因は必ずしもはっきりとわかっていませんが、体液がアルカリ性に傾くと脳の血管が収縮し、脳の血流量が減少するので、これらが原因とする考えが一般的です。そのほかに、高い場所に限らず起こる頭痛に、筋緊張性頭痛といって、頚の後ろの筋肉のコリが原因になっている場合もあります。慣れない登山で緊張していたり、重い荷物を背負うことで起こる場合もあります。
 多かれ少なかれ高所ではほとんどの登山者が軽い頭痛や頭がぼんやりした感じを経験します。高所経験が少ない登山者は主に前頭部に頭痛を感じる場合が多いようですが、頚の後ろ、目の奥、頭全体の痛みがある場合もあります。軽い高山病による頭痛でしたらダイアモックスで改善するでしょう。しかし、頭痛が主な症状でしたら鎮痛薬(アセトアミノフェンやアスピリン)を内服することで改善されますし、富士山程度でしたら高度的(最高高度で3776m)にも、時間的にも(通常は数時間で下山するでしょうから)、ダイアモックスを内服するまでもなく、鎮痛薬で対処できます。症状がひどければ下山すると良いでしょう。富士山よりも高い場所に長く滞在した場合には高山病が進んで脳浮腫を起こす場合もあります。これは脳がむくんでしまった状態で、頭痛、吐き気、モノがぼやけて見える、うまく歩けないなどの運動失調などを起し、生命の危険があります。筋緊張性頭痛の場合には頚の後ろや肩をマッサージしたり、シップ薬を使うと頭痛を軽くさせることができます。
 稀ですが頭痛が高山病の症状でない場合もあります。痛みの位置が左右どちらかに限局していた場合は脳卒中(脳出血)の可能性があります。血圧が高く、めまい、吐き気、ケイレンなどを伴っている場合は高血圧性脳症の可能性がありますし、体温が高く、頚の後ろが硬くなっている場合には髄膜炎の可能性があります。また、頭を打った後に頭痛がひどくなってくる場合には頭の中で出血して血腫が大きくなっている可能性があり、至急、救援を依頼して専門的な治療にゆだねることが必要になります。
 なお、神経内科の塩田純一先生からのコメントとして、“高所での訴えの一つに耳閉感があり、急に下った時に咽頭炎などで耳管が閉塞しているとみみぬきが必要になります。何人かヒマラヤで診察したことがありますが、耳栓はあまり関係ないと思います。”ということでした。
(日本山岳会医療委員会  野口 いづみ)




   

Copyright (C) 2004 The Japan Alpine Club  The Committee of Medicine, All rights reserved.