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脳梗塞の既往と高所登山について


Q.6  脳梗塞と登山
2005/07/13 臼杵 耕一 さん
 1年半前に軽い脳梗塞を発病し、その後回復し元気に登山をしています。脳梗塞の原因となった高血圧、高脂血症、高コレステロールは節制、運動により体重を7KG落とし、正常値になりました。(血圧は降圧剤を使用して130−85くらい)近々モンブラン(約4800M)登山を計画しているのですが、脳梗塞の既往症のある人は注意した方が良いでしょうか?又、脳のMRA検査にて約2.5mmの未破裂動脈瘤が発見されましたが、高地に行くのは危険でしょうか?富士山には訓練でよく登っていますが、高度による血圧の上昇はなく、逆に運動をするせいか血圧は下がります。



A.6
 脳梗塞の既往があり、未破裂動脈瘤があるとのことですので、脳神経外科の専門家(東京都立神経病院脳神経外科高橋宏先生)にお尋ねしましたが、わからない点が多いので、一般的にお答えするのは難しいとのことです。お返事をいただければ幸いです。
【高橋先生からのご質問と回答】
1.年齢はおいくつでしょうか?
2.また脳梗塞予防の薬は飲んでいるのでしょうか?
3.脳梗塞に関しましては、脳血管や頸部頸動脈の狭窄等は大丈夫なのでしょうか?
これらの条件で、予後は大分変わってくると思います。

 また、脳動脈瘤は径が5-10mm程度となると破れやすくなるようです。出来ている場所によって破れやすさが変わってきます。これらの情報ももしおわかりでしたらお教え頂ければ幸いです。脳動脈瘤の破裂の確率は一年で約1%と言われています。この確率について、ご本人がどう思われるかにより、登山を決心するか否か 変わってくると思います。
 これらの件に関しましてお教え頂ければ幸いです。
(日本山岳会医療委員会  野口 いづみ)



Q.6-1  脳梗塞と登山
2005/07/29 臼杵 耕一 さん
 野口先生、ご回答ありがとうございました。私は現在51歳、脳梗塞の予防薬としてバッファリン81mgを服用しています。脳梗塞は左基底核に小梗塞が2004年2月に発生しました。現在はやや構音障害が残る程度で、手足の機能は回復しています。(足は当初から全く問題ありませんでしたが。)どちらかというと未破裂動脈瘤の方を心配しています。6月のMRA検査で、大きさが2.5mmと言われています。動脈瘤の位置等正確な情報を調べ、改めてご相談させて戴きます。



A.6-1
 神経病院脳神経外科の高橋宏先生より追伸がありました。それによりますと、“バファリンを服用していて脳動脈瘤があるとちょっとこわいです。血圧はどうなのでしょうか? 動脈瘤の場所が分かりましたら教えてください。”ということでした。
 また、神経内科の塩田純一先生から次のようなコメントがありました。
 脳梗塞のリスクは血液が濃くなることです。高度順化は血液が濃くなることが重要な条件の一つなので起こりやすくなります。若い人は動脈硬化がないので流れのゆるい静脈が詰まりますが、50歳代になると動脈が詰まります。全く梗塞を起こしたことのない人に比べ、梗塞の既往がある人は起こしやすいのは事実です。
 くも膜下出血は高所で亡くなる原因としては少なくない病因の一つです。しかし、未破裂動脈瘤がどの程度のものかは大きさだけでは判定できません。むしろ巨大動脈瘤などは器質化して破裂の危険が少なくなることもあります。しっかりした脳外科にかかって相談されるといいと思います。
 私はたくさんの梗塞患者を抱えています。リスクが高いと言って人生の守りに入るのは賛成ではありません。出来る限りの準備をして、起こった場合自己責任で考えるしかないでしょう。今年の岳人の2月号のマウンテリングセミナー(エコノミークラス症候群)が多少参考になるかもしれません。
 以上でした。
(日本山岳会医療委員会  野口 いづみ)



Q.6-2  脳梗塞と登山
2005/08/01 臼杵 耕一 さん
 野口先生、追伸ありがとうございました。脳梗塞は左放線冠に発症し、大きさは9mm程度のラクナ梗塞です。脳血管/頸部頸動脈の狭窄はありません。又、未破裂動脈瘤はIC-PC(右内視動脈−後交通動脈分岐部)にあり、大きさは約2.5mmです。最近の血圧は降下剤のニューロタン25を飲んで、120−80くらいです。今回のモンブラン登山では、4,000M超の高度での滞在時間は5〜6時間です。脳梗塞発症の前年には4,200Mの山へ登頂経験があります。(日帰り)又、過去に2,650Mのコロンビアのボゴタ市に通算3年の滞在経験があります。本日、神経内科の先生にMRAを撮って見てもらいました結果、脳動脈瘤の破裂のリスクはゼロではないが(東京にいてもリスクはあるので)ドクターストップするほどの危険はないとのご意見でした。自己責任で行こうかと思いますが、特に注意する点(薬の服用等)ありましたらアドバイスお願いします。



A.6-2
 遅くなりましたが、高橋宏先生からのアドバイスは次のようでした。
 臼杵さまもよく分かってらっしゃる様で、梗塞あるいはくも膜下出血共に自己責任の世界と思います。しかし、せめて血圧計を持参されて、また降圧剤も用意されるとよいと思います。
(日本山岳会医療委員会  野口 いづみ)




   

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